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先輩臨床研修医の声:越智 龍太郎

氏名 研修期間 先輩臨床研修医の声
越智 龍太郎
越智 龍太郎
【初期】
平成22年4月~
平成23年3月
研修医生活 早2ヶ月(平成22年6月)
研修医日記 Part.2(平成22年10月)

 

研修医生活 早2ヶ月(平成22年6月)

小樽の地で新たな生活が始まって早2ヶ月。
僕は呼吸器科での研修からスタートしましたが、この2ヶ月間は本当にあっと言う間、怒涛のように過ぎて行き、けれど、非常に沢山のことを学ぶことができました。

この病院での研修の「売り」などは、過去の先輩方の研修レポートで詳しい(特に、齋先生のレポートは半端ない/笑)ので、そちらを参照してもらいつつ、今回は、なぜ僕が小樽協会病院を研修病院に選んだのかと、この2ヶ月で学べたこと、そして、ちょっとだけこの病院の初期研修の特色をお話しようと思います。

今年の研修医は1年目が3人で、2年目研修医はいません。内訳は、小樽協会病院にマッチング(2年間)が1名、大学病院からのたすきがけ(1年間)が2名です。
僕はこのうちの後者、札幌医大の関連病院として1年間お世話になっている身です(もう1名は北大のたすきがけです)。
札幌医大では、今年からたすきがけ先の関連病院として選ぶことが可能になりました。

6年生時の小児科選択ポリクリで2週間程、またそれ以外でも個人的に実習に来させて頂いたことがあり、病院の雰囲気や先生方の指導に対する熱意、研修内容等を生で体験して、(あと、大学で部活=合唱部の先輩でもある齋先生の熱心な勧めもあり/笑)小樽協会病院をたすきがけ先に選びました。
2年目を大学にしたのは、児童精神、神経内科等の専門的なことを学びたかったからで、1年目は市中病院で内科・小児科・産婦人科をメインとして、common diseaseを中心に学ぶつもりでした。

研修医が3人と聞くと、少ないと感じる方もいるかもしれません。
研修医が沢山いる方が活気があって良い、と考える方もいるでしょう。しかし、その反面、研修医が沢山いると、教えられる機会、手技や症例の奪い合いになるのではないでしょうか(パイの分け前に喩えて考えてみると解りやすいかもしれません)。
しかし、小樽協会病院(240床)のような小~中規模病院では、大病院(1000床クラス)でありがちな、指導医1人に対して研修医数人という指導体制ではなく、むしろ、マンツーマンどころか、各科指導医約3人対研修医1人という、大変恵まれた指導体制です。

体制だけ整っていて内容がなければ意味がないのも確かですが、この病院は内容の方もばっちり、呼吸器科では、この2ヶ月間で、静脈採血・ルート確保、大腿・上腕・橈骨動脈からの動脈採血と血液ガス分析、鼠径からのCVカテーテル挿入、胸腔穿刺、気管支鏡検査前の局所噴霧麻酔、気管支鏡下での挿管等の手技がスムーズ出来るようになり、入院治療計画書や紹介状、リハビリ処方箋を始めとする色々な書類を書いたり、処方もある程度自分の裁量で出せるようになりました。

研修医の主な仕事は回診とカルテ書き、そして看護師さんへの指示出しですが、他の大病院のように、雑用ばかりということはなく、レポートを書いたり、自分の勉強時間を持つことも出来ます。当たった症例次第では、学会で発表もさせてもらえるかもしれません。

先に書いた静脈採血とルート確保は、夕方就業後、新人看護師さん達に混じって(彼女達のプリセプターさんに付いてもらって)お互いに練習し合いました。また、当直明けの朝、深夜勤の看護師さん達にお願いして、患者さんの採血を代わりにやらせてもらったりもしています。時々の空いた時間は、検査室に顔を出すと、エコーや心電図、ABI等の練習をさせてもらったり、検査の方法や検査値について聞いたりもでき、病理部では標本を見ながら病理の先生に解説して頂いたりもできます。
小規模病院であればこそ、職員数も少ないため、お互いに顔も覚え、アットホーム…は言い過ぎにしても、職種に関わらず皆仲良く仕事をしており「チーム医療」「多職種連携」を実感しています。

殆どの先生が○○大学の出身…ということもなく、いい感じに交じり合っているため、時々ニュースで見るような大学の派閥争いみたいなこともなく、異なる科の先生同士で飲みに行ったりと先生方の仲も科を超えて良好ですし、医師と看護師との仲も、しょっちゅう病棟で飲みに行ったり、看護師さんが先生をあだ名で呼んだり(ex.某副院長→カッキー、消化器内科某先生→ショウちゃん)と、非常に良好です。

最後に少しだけこの病院の特色を。小樽・後志地方で、呼吸器科は唯一の病院であり常にほぼ満床、小児科は唯一の小児二次救急病院、またこの規模の病院では珍しくNICUまであり、沢山の患者さんが集まり、common diseaseから珍しい症例まで沢山の症例を実際に見て、学ぶことが出来ます(実際、たった2ヶ月の間に何例も珍しい症例を見ました)。
また、消化器科は一番の稼ぎ頭、循環器科も積極的にAMIなどの救急を受け入れており、市中病院で内科や小児科を中心にしっかりと学びたい人にとっては最適な病院だと思います。

一方で、真向かいに市立小樽病院があることから、循環器疾患を除く救急搬入はあまり多くありません。整形外科も今年度から非常勤となり、精神科も非常勤、眼科・耳鼻科・泌尿器科・皮膚科等の先生もおらず、放射線治療の出来る施設等もないため、1年目からそのような科を学びたい人、救急をバリバリやりたい人などにとっては不向きかもしれません。

小樽協会病院での研修の特徴として一番大きいのは、通常の初期研修1年目では内科6ヶ月・救急3ヶ月が必修である所を、小樽協会病院では救急の必修を2ヶ月とし、残りの1ヶ月を月3回=年計36回の当直で補うとされていることで、残りの1ヶ月を他の科に割り当てて研修することが出来る(36回以上当直することも可で、当直代は1回1万円。当直は上級医の副直で、夜間帯の宿直、勤務のある土曜日=1、3、5週の昼~夕の半直、休日朝~夕の日直があります)ため、研修システムとしても、お財布的にも、お得な気分になれます(笑)

来年、僕は大学に戻ってしまうためにいませんが、それまでの1年間で自分に出来る、出来るだけのことをし沢山のことを吸収して一人前の医師になることがこの病院に対する恩返しかな、と考えています。それと共にこの病院での研修の良さを学生さん達に伝えていくことが出来たら、とも。
見学・実習に来て、生の研修医の話が聞きたいという人は、遠慮なく声を掛けて下さいね。

 

研修医日記 Part.2(平成22年10月)

現在研修医5ヶ月目、病院にも大分慣れました。
6~7月は消化器内科、8~9月は循環器内科での研修です。

消化器内科は、食道・胃・小腸・大腸・肝・胆・膵、全ての消化器を見ている他、札幌医大の第4内科からの先生であることもあり、リンパ腫等の血液疾患も診ています。そのため、各部位の癌・炎症性疾患は勿論のこと、非常に稀な疾患まで、幅広く経験することが出来ました。念のため、2ヶ月で見ることのできた疾患をざっと挙げてみましょう。

食道癌、胃癌(スキルス含む)、大腸癌(盲腸癌・虫垂癌・結腸癌・直腸癌)、肝癌、胆管癌、乳頭部癌、膵癌、IPMN、胃ポリープ、GIST、MALT、胃炎、胃潰瘍(術後の巨大潰瘍も)、十二指腸潰瘍、逆流性食道炎、食道裂孔ヘルニア、大腸ポリープ、大腸憩室、憩室炎、虫垂炎、大腸穿孔、カンピロバクター性回腸炎が波及した腹膜炎、偽膜性腸炎、虚血性腸炎、腸管子宮内膜症、イレウス、過敏性腸症候群、痔核、肝炎、肝硬変、食道静脈瘤破裂、特発性門脈圧亢進症、門脈内気腫、アレルギー性肝障害、急性閉塞性化膿性胆管炎、胆嚢腺筋腫症、胆石性胆嚢炎、気腫性胆嚢炎、脾膿瘍、胆石性膵炎、IPMN塞栓性膵炎、横紋筋融解症、原因不明の高アンモニア血症、5-FUの重大な副作用としての高アンモニア血症、胃印環細胞癌を原発とする癌性髄膜症、DLBCL、T細胞リンパ腫…等々、多分、挙げればキリがないくらい。

見ることの出来る手技としては、胃・食道・大腸の止血術(EVL・クリッピング)、ERCP、EUS、PTBD、PTGBD、イレウスチューブ挿入、肝生検、AG等があります。
実際にやらせてもらえる手技は、内頚動脈からのエコー下IVH挿入、手術室での全身麻酔下Vポート挿入・交換、腹水・胸水穿刺などのいわゆる"刺しもの"を大量に(2日に1度のペースで)やらせてもらった他、デンバーシャント形成術、ダブルバルーン小腸内視鏡、PEG造設術等では助手として入らせてもらえます。

特筆すべきは、胃カメラ・大腸カメラを一人で最後までやらせて頂けるようにまでなることです。
最初の頃は、胃カメラは幽門部で、大腸カメラは直腸でそれ以上の挿入に手間取っていましたが、最終的には、胃カメラはファーター乳頭まで楽に到達し、所見を書かせてもらえる所まで、大腸カメラも盲腸まで到達し、バウヒン弁を通って小腸を覗く所までやらせてもらえました(いずれも、生検等も複数回やらせてもらっています)。2ヶ月しかおらず、また、僕が将来は精神科に行くこと(医師3~4年目は内科をやるつもり)を理解されているのにも関わらず、やる気を買って頂き、やらせて頂いたことは非常にありがたかったです(医師3~4年目では内科をやるつもりでいるので、可能なら胃カメラをやらせて下さいとお願いしていました。

しかし、多くの病院では、将来入局しない研修医に、カメラを「持たせる」はともかく、やらせてくれる場合は少ないのではないでしょうか)。H先生の「頭で考えながらカメラを進めることが出来て、しかも最後まで到達するなんてお前はセンスがある。2ヶ月しか教えられないのが惜しい。あと2ヶ月あれば一人で助言なしで出来るようになるのに。内科をやめてしまうのは勿体無い。」とのお言葉を頂いた時は、それが多分にお世辞が含まれていると解っていても、自分が思い描いている進路が揺らぐくらい、非常に嬉しかったです(単純かもしれませんが/笑)。
様々な症例を見て学ぶという意味でも、色々な手技を実際にやって学ぶという意味でも、非常に有意義な2ヶ月の研修期間でした。

一方、循環器科では、急性期の患者が多いため、採血・心電図・Xp等のデータも日・時間によって刻々と変わり、それらに対する捉え方や対処法等をメインで学びました。PCIが可能な施設であり、心筋梗塞等の循環器救急では先生方だけでなく看護師さん達の目の色も変わります。

そのため、心筋梗塞や狭心症、急性心不全、不整脈等の救急疾患を見る機会が多いですが、それ以外にも肥大型心筋症、拡張型心筋症、心タンポナーデ、大動脈解離、大動脈弁狭窄症等の弁膜症も見ることが出来ました。また、高血圧や糖尿病、脂質異常症等の循環器疾患の危険因子となる疾患も沢山見ることが出来ます(と言うか、殆どの人が持ってます)し、腎不全や動脈硬化性疾患(ASOや腎動脈閉塞等)の合併も多いです。
それ以外にも、慢性心不全・腎不全等を基礎疾患として持つ患者さんであれば、消化器から呼吸器まで幅広く見ています(勿論、他科へのコンサルトも積極的に行っています)。

手技としては、それまで他の科で学んできた"刺しもの"(特にIVH挿入や胸水穿刺)を主にやらせてもらった他、心エコーは技師さんが施行後にやらせてもらうことが出来ました(技師さんの解説付)。心臓カテーテル検査やペースメーカー埋込術は流石に見学が主でしたが、時に助手として入らせてもらったり、後半には右心カテーテル(Swan-Ganzカテーテル)検査もやらせてもらえました。但し、循環器科では、「手技」と言うよりも、冠動脈造影を読めるようになったことの方が大きかったと思います。

この6ヶ月間の内科の研修で、非常に有益な経験を積むことが出来ました。この後は、精神科、小児科、麻酔科、産婦人科、外科での実習が待っています。学んだことを生かして、今後の研修に臨んでいきたいと思います。

最後に堅い話題を離れて。

小樽は札幌近郊の都市ですが、海・山に面し、レトロな街並の並ぶ情緒溢れる街です。特筆すべきはお祭りの多さでしょうか。お隣の神社=住吉神社例大祭の日は、病院自体がお休みになりますし、小樽で一番大きなお祭り=潮(うしお)祭りには、多くの病院職員が参加します。潮祭りでは、約2kmの道のりを、潮音頭という踊りをひたすらに踊りながら行列で歩いていくのですが、研修医も例に漏れず、一番前、院長の横で踊ります(踊らされます/笑)。
踊りきった後の達成感、打ち上げのお肉の美味しいこと(←普通は「打ち上げのビールの美味しいこと」と書く所ですが、僕はビール飲めないので…(>_<))。
先生方が小樽市民に愛されていること、病院が地域密着なこと、職員が皆本当に仲が良いことを実感しました。
 

本文ここまで

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