小樽の地で新たな生活が始まって早2ヶ月。僕は呼吸器科での研修からスタートしましたが、この2ヶ月間は本当にあっと言う間、怒涛のように過ぎて行き、けれど、非常に沢山のことを学ぶことができました。
この病院での研修の「売り」などは、過去の先輩方の研修レポートで詳しい(特に、齋先生のレポートは半端ない/笑)ので、そちらを参照してもらいつつ、今回は、なぜ僕が小樽協会病院を研修病院に選んだのかと、この2ヶ月で学べたこと、そして、ちょっとだけこの病院の初期研修の特色をお話しようと思います。
今年の研修医は1年目が3人で、2年目研修医はいません。内訳は、小樽協会病院にマッチング(2年間)が1名、大学病院からのたすきがけ(1年間)が2名です。
僕はこのうちの後者、札幌医大の関連病院として1年間お世話になっている身です(もう1名は北大のたすきがけです)。札幌医大では、今年からたすきがけ先の関連病院として選ぶことが可能になりました。
6年生時の小児科選択ポリクリで2週間程、またそれ以外でも個人的に実習に来させて頂いたことがあり、病院の雰囲気や先生方の指導に対する熱意、研修内容等を生で体験して、(あと、大学で部活=合唱部の先輩でもある齋先生の熱心な勧めもあり/笑)小樽協会病院をたすきがけ先に選びました。2年目を大学にしたのは、児童精神、神経内科等の専門的なことを学びたかったからで、1年目は市中病院で内科・小児科・産婦人科をメインとして、common diseaseを中心に学ぶつもりでした。
研修医が3人と聞くと、少ないと感じる方もいるかもしれません。研修医が沢山いる方が活気があって良い、と考える方もいるでしょう。しかし、その反面、研修医が沢山いると、教えられる機会、手技や症例の奪い合いになるのではないでしょうか(パイの分け前に喩えて考えてみると解りやすいかもしれません)。
しかし、小樽協会病院(240床)のような小〜中規模病院では、大病院(1000床クラス)でありがちな、指導医1人に対して研修医数人という指導体制ではなく、むしろ、マンツーマンどころか、各科指導医約3人対研修医1人という、大変恵まれた指導体制です。
体制だけ整っていて内容がなければ意味がないのも確かですが、この病院は内容の方もばっちり、呼吸器科では、この2ヶ月間で、静脈採血・ルート確保、大腿・上腕・橈骨動脈からの動脈採血と血液ガス分析、鼠径からのCVカテーテル挿入、胸腔穿刺、気管支鏡検査前の局所噴霧麻酔、気管支鏡下での挿管等の手技がスムーズ出来るようになり、入院治療計画書や紹介状、リハビリ処方箋を始めとする色々な書類を書いたり、処方もある程度自分の裁量で出せるようになりました。研修医の主な仕事は回診とカルテ書き、そして看護師さんへの指示出しですが、他の大病院のように、雑用ばかりということはなく、レポートを書いたり、自分の勉強時間を持つことも出来ます。当たった症例次第では、学会で発表もさせてもらえるかもしれません。
先に書いた静脈採血とルート確保は、夕方就業後、新人看護師さん達に混じって(彼女達のプリセプターさんに付いてもらって)お互いに練習し合いました。また、当直明けの朝、深夜勤の看護師さん達にお願いして、患者さんの採血を代わりにやらせてもらったりもしています。時々の空いた時間は、検査室に顔を出すと、エコーや心電図、ABI等の練習をさせてもらったり、検査の方法や検査値について聞いたりもでき、病理部では標本を見ながら病理の先生に解説して頂いたりもできます。
小規模病院であればこそ、職員数も少ないため、お互いに顔も覚え、アットホーム…は言い過ぎにしても、職種に関わらず皆仲良く仕事をしており、「チーム医療」「多職種連携」を実感しています。
殆どの先生が○○大学の出身…ということもなく、いい感じに交じり合っているため、時々ニュースで見るような大学の派閥争いみたいなこともなく、異なる科の先生同士で飲みに行ったりと先生方の仲も科を超えて良好ですし、医師と看護師との仲も、しょっちゅう病棟で飲みに行ったり、看護師さんが先生をあだ名で呼んだり(ex.某副院長→カッキー、消化器内科某先生→ショウちゃん)と、非常に良好です。
最後に少しだけこの病院の特色を。小樽・後志地方で、呼吸器科は唯一の病院であり常にほぼ満床、小児科は唯一の小児二次救急病院、またこの規模の病院では珍しくNICUまであり、沢山の患者さんが集まり、common diseaseから珍しい症例まで沢山の症例を実際に見て、学ぶことが出来ます(実際、たった2ヶ月の間に何例も珍しい症例を見ました)。また、消化器科は一番の稼ぎ頭、循環器科も積極的にAMIなどの救急を受け入れており、市中病院で内科や小児科を中心にしっかりと学びたい人にとっては最適な病院だと思います。
一方で、真向かいに市立小樽病院があることから、循環器疾患を除く救急搬入はあまり多くありません。整形外科も今年度から非常勤となり、精神科も非常勤、眼科・耳鼻科・泌尿器科・皮膚科等の先生もおらず、放射線治療の出来る施設等もないため、1年目からそのような科を学びたい人、救急をバリバリやりたい人などにとっては不向きかもしれません。
小樽協会病院での研修の特徴として一番大きいのは、通常の初期研修1年目では内科6ヶ月・救急3ヶ月が必修である所を、小樽協会病院では救急の必修を2ヶ月とし、残りの1ヶ月を月3回=年計36回の当直で補うとされていることで、残りの1ヶ月を他の科に割り当てて研修することが出来る(36回以上当直することも可で、当直代は1回1万円。当直は上級医の副直で、夜間帯の宿直、勤務のある土曜日=1、3、5週の昼〜夕の半直、休日朝〜夕の日直があります)ため、研修システムとしても、お財布的にも、お得な気分になれます(笑)
来年、僕は大学に戻ってしまうためにいませんが、それまでの1年間で自分に出来る、出来るだけのことをし、沢山のことを吸収して、一人前の医師になることが、この病院に対する恩返しかな、と考えています。それと共に、この病院での研修の良さを学生さん達に伝えていくことが出来たら、とも。見学・実習に来て、生の研修医の話が聞きたいという人は、遠慮なく声を掛けて下さいね