ここから本文です。

診療内容(呼吸器外科)

はじめに

当院外科は消化器・呼吸器・乳腺疾患の診療に従事しております。

ここでは呼吸器外科分野のご紹介をさせていただきます。

当院呼吸器外科は1994年から原発性肺癌を中心とした呼吸器手術を開始し、現在では約30年が経過しております。小樽、後志地区において呼吸器外科専門医が常勤する、呼吸器外科専門医認定修練施設-関連施設として承認されております。基幹施設は北海道大学病院であり、北海道大学病院呼吸器外科の関連施設として日常診療を行っております。

疾患としては原発性肺癌を主とする胸部腫瘍性病変を中心に診療しています。肺腫瘍に対しては病巣の状況にあわせて胸腔鏡下手術・開胸手術を選択し低侵襲で手術を行う方針にしています。

またわれわれは気胸の治療も若年者の自然気胸から、肺気腫、間質性肺炎の続発性気胸に至るまで、保存的治療から外科的治療も含め、積極的におこなっております。

その他、縦隔腫瘍のような腫瘤性疾患、膿胸のような炎症性疾患の治療も保存的治療から外科的治療に至るまでとりくんでおります。

さまざまな年齢層・さまざまな疾患において、患者さん一人一人にもっとも適した治療を施行するよう日々とりくんでおります。

基本方針

年齢に関わらず、患者さんの利益を第一に考え、根治性を損なうことなくQuality of Lifeにも配慮した上、安全第一の合併症の少ない治療を目指しています。
他科とのかかわりでは呼吸器科・呼吸器外科カンファレンスを定期的におこない、呼吸器科・病理診断部担当医師のご協力のもと、内科・外科の総合的な診断・治療をできるような診療体制を整えております。
また、周術期の呼吸リハビリにも力をいれており、術前の禁煙指導から、周術期の多職種の呼吸リハビリの積極的なかかわりにより、術前の準備、術後回復にかかわるよう患者さんが安全に手術をうけていただけるようとりくみをしております。

次のような疾患をみています

1)肺がん(原発性肺癌)

日本の悪性腫瘍の第一位となる疾患が肺がん(原発性肺癌)です。
当院では病期の進行度の評価の上、肺癌の根治手術として肺葉切除+リンパ節郭清を施行しております。病気の進行度によっては胸腔鏡下での肺葉切除を施行しております。当院での胸腔鏡下肺葉切除は小さなキズの計4か所のキズで 肺葉切除を施行しております(創部の状態:図1)。
また、局所進行肺癌におきまして従来の開胸手術(創部の状態:図2)も施行しております。
また一方では、肺部分切除のような縮小手術も施行しております(創部の状態:図3)。
現在は肺葉切除においても図3のような3か所の創部にての胸腔鏡手術をおこなっております。
患者さんの病巣の状態、体力等を総合的に考慮し、患者さんの状態にもっともあった手術を施行するよう日々とりくんでおります。

2)転移性肺がん

肺以外のほかの臓器に悪性腫瘍をみとめ、そこからの肺への転移する病気を転移性肺がんといいます。主に大腸がん、乳がん、甲状腺がん、等の転移が多いです。
原則は肺部分切除を第一と考えますが、病巣の状態により肺葉切除等を施行します。
転移性肺がんであったとしても病巣の状態によっては治療する可能性がありうる疾患であると考えております。

3)気胸

気胸とは肺の弱い部分(ブラ・ブレブといった肺のふくろ=のう胞)が破裂して肺からの
空気漏れが出現する疾患です。いったん発症するとくりかえしやすいのが特徴です。
片側の「胸や背中のいたみ」「呼吸がくるしくなる」のが主な症状です。
多くは(1)若年の男性(身長が高くやせ形)に発症しやすい原発性自然気胸と、(2)50歳以降の喫煙に伴う肺気腫(タバコにより肺がぼろぼろになる疾患)に伴う続発性気胸が多いです。
原則、胸腔ドレナージ(胸に管をいれ胸の中の空気をにがす治療)を第一としますが、空気漏れが止まらない場合は手術を考慮します。手術は(1)(2)いずれも胸腔鏡下手術を第一選択としております。
また月経随伴性気胸(月経にともなって生じる気胸)にも対応しております。
当院は呼吸器病センター気胸部門(気胸センター)を掲げており、気胸の診断がついた患者さんは原則24時間
受け入れする体制をとっています。詳しくは「呼吸器病センター気胸部門について」をご参照ください。

4)縦隔腫瘍

肺の間にかこまれた部位を縦隔(じゅうかく)といいます。
縦隔には気管、食道、心臓、大血管、神経、胸腺といったさまざまな臓器が存在します。
ここで発生する腫瘍はさまざまな種類があり、場所的に細胞を採取することが困難なため、確定診断が難しい疾患です。
縦隔腫瘍を疑われた場合は、はやめに呼吸器科・呼吸器外科を受診することをおすすめします。

5)気管支鏡検査について

・当院、2022年4月から呼吸器内科においては大学の呼吸器内科教室の人事により、現在当院の呼吸器内科診療については大学出張医師による予約外来の外来診療のみが継続されております。
当院においての気管支鏡検査につきましては、2022年4月以後は呼吸器外科の常勤の気管支鏡専門医を中心に気管支鏡検査、気管支鏡下生検等をおこなっております。
現在も当院は日本呼吸器内視鏡学会の関連認定施設として診療しております。

2023年の当院での気管支鏡をはじめとした実績は
気管支鏡検査 77例  気管支鏡下生検  10例  その他CTガイド下肺生検 6例
  
おこなっております。今後も気管支鏡検査におきましても積極的に症例数をのばしていきたいと考えております。
図4
 

呼吸器外科の手術件数(2020年~2023年)

当院での2023年1-12月の呼吸外科手術は63例おこなっております。そのうち胸腔鏡下手術は50例(79%)であり、主に肺がんを中心とした胸部悪性腫瘍に対してとりくんでおります。主な手術としては2023年(1-12月)原発性肺がん手術例21例(肺葉切除12例・区域切除2例・肺全摘1例・肺部分切除6例)、施行しております。また気胸については原則保存治療を第一にしておりますが、保存的治療で改善がみられなかった23例に施行しており、全例胸腔鏡下手術で施行しております。
 ここ数年の症例の推移としては2021年1-3月は当院、新型コロナウイルス感染症のクラスター病院となったため、一時的に新規入院・手術室の運用が停止となり症例数の大幅な減少、2022年4月からは当院呼吸器内科が常勤医師不在となりさらなる症例の減少がおこりました。しかし2022年4月以後、呼吸器外科単独による常勤の気管支鏡専門医を中心とした気管支鏡診療も徐々におこない、2023年に入り症例をすこしずつのばしております。今後皆様のご協力をいただきながらさらに症例をのばしていきたいと考えております。
当院は日本呼吸器外科学会胸腔鏡安全技術認定医(図5 左)、日本内視鏡外科学会技術認定医(呼吸器外科)(図5 右)を有する常勤の呼吸器外科専門医を中心とした手術をおこなっております。
 

【手術件数の推移】
2020年(1-12) 2021年(1-12月) 20222(1-12) 2023年(1-12月)
呼吸器外科手術総数 93 62 44 63
胸腔鏡下手術 65 46 40 53
原発性肺癌手術数 44 30 10 21
  ・肺葉切除 41 26 7 12
  (区域切除) 0 0 0 2
  ・肺全摘 1 1 0 1
  ・肺部分切除 4 4 3 6
気胸手術 19 13 15 23

図5
 

禁煙について

呼吸器外科の手術を安全にうけていただくためには禁煙が非常に重要です。
外来受診にて手術前禁煙に関するご指導・サポートもさせていただきたく存じます。

次のような症状がある場合

  • 「レントゲンで肺にかげがある」といわれた場合
  • 「胸や背中がいたい」「呼吸がくるしい」(気胸の症状)がある場合
  • 風邪がなかなかなおらず咳が続いている場合

皆様のおこしをおまちしております。

おわりに

 簡単ではありますが当院呼吸器外科の紹介をおわらせていただきたく存じます。
呼吸器疾患は年齢にかかわらず年々増加傾向をみとめているのが現状です。
患者さんにもっとも適切な治療を提供できるよう、地域のみなさま方の呼吸器外科疾患を担える施設となるべく、さらに日々精進していきたいと考えております。
どうぞよろしくお願いいたします。

本文ここまで

  • 前のページへ戻る
  • ページの先頭へ戻る